誰にでも手に入る夢の住まい(第355回 震災について)

またも。。。
東北の震災から5年…。まだこの国の傷は癒えていないのに。。。
熊本は今年中3になる長男が10歳の夏に訪れた地です。
特に熊本城は時間をかけて回った場所で、地元の人にも親切にして頂き、親子共々大好きな所です。
何某かの支援を考えているところですが、ここで先走って書くと、ブログを移設した関係もあり。。。
何方かが仰ったしない善よりもする偽善という言葉に背中を押されます。
知り合いの市会議員が、地元駅やスーパーで募金を募り、状況や被災者のニーズを良く調べた上で熊本に飛び、支援活動をして帰ってきました。頭の下がる思いです。
東北の震災の折、熊本のラーメン店主が遥々被災地を訪れ、温かい食事をと振る舞ったのを覚えています。
それは毎年行われ、今年も東北の被災地を訪れたようですが、今度はその熊本でご自分たちが被災。。。
めげず、地元でラーメンを振る舞ったところ、近くの方が持ち寄った野菜などとともに振る舞われたそうです。
聞く所によると、その方は被災地訪問などもあるので常に備蓄しているそうで、こうした考えが活きる上での生活信条として持たれてるのは、個人的に尊敬できることと考えます。
いち早く支援を表明して下さった台湾の方にも感謝!!
先だっての台湾地震の折、日本の救援(支援)に対するお礼だと報道されていましたが、そもそも東北大震災の時に手厚い支援をして頂いた訳で。。。
昨日のニュースでは、トルコの方が支援の薄い所へ行き、ワゴン屋台でシシカバブ等を振る舞って頂いていました。
救援物資の手配の問題や支援活動の在り方など課題はありますが、ここでお話した方たちの様に行動することは大切です。
相変わらずのマスコミは手ぶらで被災地に入り、ズカズカと押し入っていくだけでは物足りず、食料を現地調達するなど全く成長していないですね。
ヘリの音が邪魔だという話も一向に直さない。そのために僅かにつないでいる命の露が絶えてしまいます。。。
個人のFBにも書きましたが、地元のマスメディアに任せられないのでしょうかね?全国ネットなのに。。。
もうちょっとすると、馬鹿なメーカーがウチのは安全と宣伝し始めます。
資本に物を言わせて、資材を買い占める連中もいます。
今応急処置で奔走しているのは小さな会社です。ホントに何なんだろう…。

一建築士として、思う所もあります。
今回の震災について、割かしすぐに?書かなかったのは何というか、違和感があったからです。
ちょっとうまく説明できないのですが、誤解を恐れずに言うと、地震の規模やエネルギーからすると大人しいというか。。。
実際震度7なんてそう無い訳ですが、倒れているのは皆古い建物で、倒れ方も想像の範囲でした。
これで済めばいいな…というのが正直な気持ちでしたし、マンションのエクスパンションジョイントが破断した映像を見て、マスコミが良く調べずに保証云々いってるのは呆れていたぐらいでした。
私も勉強不足だな…と思ったのは、その後の本震の際、最初に起こったのは前震だったと。。。
前震という言葉も知らなかったし、九州で地震というのもイメージできませんでした。
本震と訂正された地震があり、また同じ規模の地震が再び起こり、甚大な災害となってしまいました。
一説によると、本震は前震の1.6倍もの破壊力があったとか。。。
それにも増して、震度階的には本震と変わらない規模の余震が続いています。
比較的新しい建物も倒れ、山崩れまで起きて。。。
倒れ方がすこぶる悪く、屋内にいる人は逃げ場がないようです。
ぺしゃんこという表現は無神経かもしれませんが、そうならない、させないための法律です。
阪神淡路の折にもあった、一階駐車場が無くなったり、2階の住居の柱が潰れたりはあってはならない事。
隙間がないからです。だからこそ、法律改正あり、耐震補強で昭和56年以降の新耐震基準に準拠する様に改正されたのですが…。
先述したマンションは築17年との事で、阪神以後の法改正されたマンションです。
だから思惑通り、エクスパンションが効いた。。。これはこれで良かった訳です。

今回の様な強い地震が何度も何度も繰り返し起こるという状況は、残念ながら建築基準法には想定されていないと思います。
でも実際、大きな地震が2度3度続いた。。。
すると、比較的新しい建物も壊れてしまった。。。
これからも私たちは生きていく訳ですから、前例がなかった…で済ましてはいけません。
強度が足りなかったのか、そもそも基準法が甘かったのか…。

ここでふと思い出しました。
建築基準法には『地震地域係数Z』というものがあります。
横浜に住んでる私たちは、地震地域係数Z=1.0であまり気づかない?(構造系ではない)というか意識しないのですが、これはつまり、地震の起こりにくい地域には設計地震力を低減するという数値なんです。
今回の熊本は0.9~0.8。つまり地震が起こりにくいから設定する設計地震力を減らして考えていいよという緩和制限。
基準法は法律ですから、基本地域格差はないのですが、法律内に緩和したり厳しく安全側に見たりします。
例えば、雪国と沖縄の屋根荷重は違いますよね?

私はいつも基準法は最低ラインと考えているとお話しています。
ブログをさかのぼって頂くと、何故そう考えるのかはお話していますが、例えばこの係数の提言を掛けなかった場合に、建築コストがどれぐらい変わるかというと。。。

『そんなに変わらない』と思います。

例えば元の?1.0であっても、いやいや心配だから1.2にしても…です。
私が2割程度は強度に余剰を持たせているのも、やりようによってはコスト上可能だと思っているからで、実際殆どの建物(極端な制約・法制限がない限り)で実現しています。
勿論、余剰分かかったコストは自社で負担しています。(いつもお話していますが)
建築士としての信念(矜持)と経営者としての理念(差別化)です。
私が参加させて頂いている勉強会の講師の方は『命を守る家』が口癖です。
講習会の端々で、建築士なら、皆さんもそういう自覚を持って下さいと。

今回、2割増しにしていたら安心だったか…と問われれば、正直言ってわかりません。
被害の状況は刻々と伝えられていますが、甚大な被害の全容はまだまだ見えていません。
兎に角、地震が収束に向かっていくよう願っています。

『地震地域係数Z』
今回の地震は、建築基準法の考え方として、天災の位置づけが甘かったと言わざるを得ません。
緩和制限もコストダウンも、安全を担保するものでなくては意味がありません。
(競合他社を出し抜くため、意味の分からない、ン百万値引きしますなんて信用してはいけません)

たまたま自分の住んでいる場所に大地震が起きなかっただけ…。
備えとは食料・水を備蓄するだけではなく、そもそも家に対する考え方も知っていないといけないかもしれませんね。
皆さんはどうお考えですか?

被災地に心を寄せて。。。
まずは自分が出来る一つの事を。

 

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